大足石刻 (だいそくせっこく/ Dazu Rock Carvings)
概要
大足石刻は浮彫りの摩崖仏像が多く、洞窟が少ないため、「石窟」とは言われない。
大足石刻は重慶市大足県にあり、重慶から約120km、四川省成都から約27kmに位置する。
大足県の宝頂山・北山・南山・石門山・石篆山の5ヶ所に集中しており、発見された仏像の石刻は5万体も超えている。
中でも、宝頂山と北山に集中しており、それぞれ仏像が約1万体を数える。
1999年に、この宝頂山と北山の仏像石刻が世界文化遺産に登録されている。
唐末期から五代、宋代に次々と作られ、約400年間の大足とその周辺の県で仏像彫刻が造られている。さらに明清代(14~19世紀)まで石刻の数は増加を続けていった。
大足石刻の特徴として、仏教、儒教、道教の教えと思想がうまく融合され、その教義内容は豊富で多岐にわたって繋がり、内容が重複していないのが他の地方の石窟遺跡と異なる。
各石刻群の入場料はそれぞれ別になっており、いくつかを組み合わせてセットのなっている。また、シーズンにより料金が異なる。
大足県へのアクセス
高速道路を走るバスに乗ると、重慶から約1時間・30分間隔、四川省成都から約3時間。
各石刻へは、大足県新バスターミナルから、それぞれに運行されている。
宝頂山石刻
大足県東北の15kmの小山にあり、密教の道場として西暦1179~1252年、約73年をかけ作られたもので、寿寺を中心にして大仏湾と小仏湾に分かれる。
大仏湾
崖の長さは約500m、高さは約8~25mで東、南、北の3つの25mの断崖の上に8000像以上の仏像がある。
(主な見どころ)
広大宝楼閣(宝頂山第4号懸崖)
華厳三聖像(宝頂山第5号懸崖)
千手観音像(宝頂山第8号岩壁)
釈迦涅槃聖人遺跡図(宝頂山第11号洞窟)
父母恩重経変相彫刻(宝頂山第15号洞窟)
釈迦降生図(宝頂山第12号岩壁)
観無量寿仏経変相(宝頂山第18号洞窟)
養鶏女彫刻像(宝頂山第20号洞窟)
円覚洞(宝頂山第29号洞窟)
牧牛道場西段(宝頂山第30号岩壁)
小仏湾
聖寿寺の右側にあり、その見どころとなる仏台は、高さは2.3m、幅は16.5m、奥行きは8mで、その上たくさんの仏陀、菩薩像刻まれている。
北山石刻
大足県の北2㎞、バスで約10分の小高い北山の斜面にあり、その範囲は500㎡以上。
崖の側、高さ7~10mの洞穴はハチの巣のように彫刻され、南、北の2段に分かれる。
唐時代(892年)~南宋時代(1162年)の間にできたもので、芸術性が高く精巧で美しくて優雅さで知られる。
(主な見どころ)
転輪経蔵洞窟(北山石刻136号洞窟、象に乗った普賢菩薩像、数珠手観音など)
孔雀明王像(北山石刻155号洞窟)
地蔵経変相(北山石刻177号洞窟)
数珠手観音(媚態観音、北山石刻125号洞窟)
出水芙蓉観音像(北山石刻10号洞窟)
観無量寿仏経変相(北山石刻245号洞窟)
孔雀明王
南山石刻
大足県の東南5kmにあり、北山石刻から約3kmの山頂の上に約300体の大きい道教の神様造像がある。
南山石刻の像は南宋の1127年~1279年の間に造られている。
石門山石刻
大足県から約29㎞、北宋時代1094年から南宋時代1151年までに造られた。
道教と仏教の造像が混じり、石像は丸みを帯び豊満で、人物の表情が豊かで自然である。
石篆山石刻
大足県の南西25kmにある。
1082~1096年の造像で、長さは約130m、高い約3~8mの岩壁に儒教、仏教と道教の人物像が彫られ、代表的な「儒、仏、道」三教造像群となっている。