泉州 (せんしゅう/ Quan Zhou / チュエンジョウ)

概要

福州の南西約150km、厦門の北東75㎞に位置する。

市内に載雲山脈があり、晋江(シンコウ、Jinjiang)川が流れる。

南宋から元朝の頃に港湾都市として発展し、マルコポーロが訪れた元の時代は、泉州は中国最大の港湾都市であり、海外貿易の中心地、「海のシルクロード」の起点として、遠くベトナム、インドおよびアラブまで貿易ルートができていた。

中国人のほかにもインド人、アラブ人などが居住する国際都市であった。

マルコ・ポーロは1292年に泉州を訪れ、「宝石や真珠などをどっさり積んだインド船が続々とやってくる港」と、「東方見聞録」にエジプトのアレクサンドリアと並ぶ東西二大貿易港として「ザイトン」の名前で紹介している。「刺桐」の福建語の音であると考えられる。

明代には水運の要である晋江などの河川に土砂が堆積して大型船がのぼれなくなるなど、明代には港湾の機能が衰退し、アモイに交易中心地の座を譲った。

市街地はイスラム教・キリスト教・ヒンズー教・マニ教など宗教色豊かな建造物があり、歴史的な町並みを残し、かつての繁栄を伝える。

泉州は中国屈指の烏龍茶の産地である。茶の産地はまた磁器が発達し、中国の3大産地の一つに数えられている。
ほかにも酢の生産も盛んで、中国の4大名酢の一つとされている。


アクセス

空路

北京、上海、広州から直行便が毎日1~2便ずつ運行されている。


バス

アモイ駅前バスターミナルから30分間隔で運行されている。約1時間半。
福州から一日約15便運行されている。約3時間30分。


見どころ

開元寺
泉州市内の西側に建つ福建省四大名利で最大の仏教寺院。
創建は686年唐の時代で、はじめは蓮花寺と称した。
その後、739年に、玄宗皇帝が全国の各州に開元寺を建てよという命を出したため、改称して開元寺となった。
現在境内に残る伽藍は、大雄宝殿、東西の双塔、甘露戒壇、蔵経閥、天王殿、黄守恭嗣など。黄守恭嗣は、黄姓一族の祖廟として信仰を集めている。
東西の塔は、泉州のシンボルとして親しまれている。
中国に現存する一番高い木に見たてた構造の楼閣式石塔で、泉州華僑の里のシンボルとなっている。 東塔は鎖国塔といい、高さは48m。西塔は仁寿塔といい、高さは44mある。
ともに創建当初は木造だったが、1200年代に石の八角五重塔に改修きれた。
庭の中には、唐朝から明朝に至るまで歴代建てられた各種小型の石塔が13基ある。

清浄寺
北宋の1009年(イスラム教暦400年)に創建されたモスクで、西アジアの建築様式を採り入れた中国に現存する最古のイスラム寺院
泉州は貿易港として繁栄していたため多くのイスラム教徒が移住し、彼らの信仰生活の中心であるモスクが建てられた。
1309年に、シリアのダマスカスにあるモスクに模して改修された。
アラビア文字で刻まれているコーランを記した石刻や明代の永楽帝がイスラム教の保護を命じた勅諭の石刻などが残る。
いまに残る主な建築物:

大門楼
高さ20m、幅45m、3階建てのアーチ型に尖った門。門の上は『望月台』になっており、この場所でイスラム教の布教者が台に登り新月を眺めて断食の時期を決めたとされている。

奉天壇
礼拝殿敷地面積600㎡。周囲の石の壁のみ残存。

明善堂
小礼拝堂として3間に中庭が二つある建物。右側にはイスラム教史料陳列館および応接室がある。

天后宮
晋江の岸近くにある道教の女神媽祖を祀る廟。中国最古、最大の媽祖廟。
媽祖は、林黙娘といい、、10世紀に福建に実在した巫女で、善行を積んだ生涯を送っていたが、不幸なことに、海の事故により帰らぬ人となった。民衆は彼女の美徳を懐かしみ、彼女を海上の女神として崇め、廟を建てて祀った。ここから航海の守護神としてアジア沿岸で広く信仰されるようになっていった。

清源山
泉州北の郊外にそびえる標高498mの山で、中峰、左峰、右峰の3峰からなる。
この山に湧き出す清泉にちなんで「泉州」の名がついた。
唐代には仏教、道教、儒教の寺廟が多く建つ宗教の山として隆盛した。
とくに右峰の羅山と武山の間にある老君岩には、中国に現存する最大の宋代道教の石の彫刻・老君像が彫られている。
ほかにも宋、元時代の道教、仏教、チベット仏教などの大型の石の彫刻が7箇所に9体、断崖に彫られた彫刻600体余りが納められている。

泉州海外交通史博物館
中国唯一の海事博物館。
1979年に開元寺境内の東側に泉州湾古船陳列館が作られ、1974年に泉州湾で発掘された船や海事遺物などが陳列されている。
1990年には、泉州市街の東の郊外に敷地面積3500㎡、建築面積7000㎡に3つのテーマの新館が完成。

泉州海外交通史陳列館:
シルクロードの海上の重要な港である泉州の2000年を越える海事活動の概況・文献・文化物・遺跡写真などが陳列されている。

泉州宗教石刻館:
泉州で発見された宋・元時代のイスラム教・キリスト教・ヒンズー教・マニ教の石刻400点以上が陳列されている。

泉州民俗文化陳列館:
泉州に400以上ある古い陶磁器の釜跡で発見された輸出品500点が陳列されている。

中国歴代船舶模型陳列館


近郊

安平橋
泉州市の南30kmの安海鎮にある中国最長の古橋。
幅約5m、長さ2070mの石橋
橋の途中に休憩所が5か所設けられていたが、現在は1か所のみ残っている。~^ 橋は南末の1138年に起工し、13年後に完成。安海鎮から海の浅瀬を隔て対岸の南安水頭鎮までを結んでいる。
度々の改修を経たが、破損箇所が多く通行が危険になったため、現在のものは1985年に全面改修を行い整備されている。

洛陽橋
泉州市の東郊の洛陽江河口にかかる長大な石橋で、中国四大古橋のひとつとされている。
北宋の泉州太守蔡嚢が指揮し1053年に起工、7年をかけ完成。 当初は幅約5m、長さ1200mだったというが、その後幾度かの改修で現在は幅約4.5m、長さ731m。44の舟形の橋脚、104の獅子像、ひとつの石亭、7つの石塔が残されている。
洛陽橋のかかる地点は川の流れが急で深く、橋脚の基礎に牡蠣を繁殖させて結合部分を強化するなど独特の技術が用いられという。